啓明館 - 神奈川県・横浜市の中学受験専科塾

啓明館事業部長 渋田先生日記

2021年8月31日

位置関係

「言葉で治療する」(鎌田實・朝日新聞出版)より。

 

□薬を使わずに経過を見るとき、「我慢しなさい」と命令されるのと、「つらいよね」と共感されるのでは、大きく違う。共感されたと感じた患者さんは、医師の言葉に聞く耳を持つのである。医師がまず言葉を受け止めることによって、今度は患者さんが、医師の言葉を受け止める心を準備できるのである。結局、コミュニケーションは、どちらかが言葉をちゃんと受け止めれるところから始まるように思う。

 

□違った人間がひとつの問題で同意するには、一方的に話したいことを話すだけでは、結論が出たとしても、納得のできるいい行動変容はできない。聞くことに重点を置いて話をしていくと、だんだんとお互いが納得し、合意に近づく。言葉の投げかけが一方向からだけにならないように、お互いが意識することが大事だ。とりわけ、最初に弱い側、つらい側が投げてくれた言葉やサインを受け止めることが大事だと思う。「聞く」ことから医療の現場も、教育現場も、親子の関係も、職場も、もっといいものに変わっていくはず。

 

□会話のときの位置関係も大切である。ベッドに寝ている患者さんに、こちらが立っていると、患者さんが医師を見上げるかっこうになり、上下関係ができてしまう。医師がいすに座ると、患者さんとの関係が近いものになる。それだけでも話しやすい空気がつくられるのである。しかし、ときには視線をはずすことも1つの大切な技術である。この技術は子どもと大事な話をするときにも役立つ。ぼくは、患者さんの診察をしたあと、患者さんがベッドの縁に腰掛けていると、その横に座らせてもらう。二人で同じ窓の外の八ヶ岳を見ながら話をする。目線を外すのである。ぼくの体温が横に座っている患者さんに伝わっていく。なんだかそれであたたかくなる。同じ景色をみながら会話をしていると、ふだん話さないような悩みを話してくれるようになる。

 

 

アントワーヌ・サン=テグジュぺリの「愛とはお互いを見つめあうことではなく、ともに同じ方向を見つめることである」というのも有名です。

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